B.island(新潟県立万代島美術館ニュース)第20号-1「2021年度展覧会のご案内」

今年度より、B.island(新潟県立万代島美術館ニュース)はHPのトピックスにて発行いたします。

展覧会に関わる記事の他、収蔵品のご紹介、学芸員の日頃の研究成果など、様々な記事を展開し、発信していく予定です。どうぞご期待ください。

初回は今年度の展覧会についてご紹介します。観覧料や休館日等の詳細につきましては、各展覧会ページをご覧下さい。

 

「芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」開催中~5月5日(水・祝)

月岡芳年(つきおか・よしとし 天保10-明治25/1839-92)は、江戸に生まれ、12歳で歌川国芳(うたがわ・くによし)に入門、社会制度や価値観などが大きく転換した幕末・明治の激動期に大衆の人気を集めました。

「血みどろ絵」「無惨絵」と呼ばれる初期のシリーズがその代名詞となりましたが、手がけたジャンルは武者絵、役者絵、怪奇絵、戦争画、美人画など多岐にわたります。彼の作品を特徴づける斬新な構図、華麗な色彩、豊かな画面のドラマ性は、現代の我々をも魅了してやみません。

本展では、芳年の画業の全貌を時代順に4章構成で紹介します。展示する263点は、すべて日本画家・西井正氣(にしいまさき)氏の収集品です。初摺(しょずり)にこだわり、保存状態のよいものを集めた同氏のコレクションは、まさに世界屈指の質・量を誇ります。素描や画稿、版木、肉筆画なども併せて展示し、芳年芸術の秘密に迫る内容です。

 

月岡芳年《芳年武者旡類 源牛若丸 熊坂長範》1883年

 

月岡芳年《藤原保昌月下弄笛図》1883年

 

 

「大地のハンター展 ─陸の上にも4億年─」 7月3日(土)~9月5日(日)  

陸に上がって4 億年のうちに多様化したハンター(捕食者)。その「捕食」に注目し、生態系における役割と重要性を解き明かす科学展覧会「大地のハンター展」

(6月13日まで東京・上野の国立科学博物館で開催)が、この夏、新潟にやってきます(新潟会場では一部展示物が変更になります)。

白亜紀に生息し、恐竜も捕食していたとされる巨大ワニ「デイノスクス」の実物大生体復元モデルや、伝染病を媒介する「カ」や寄生虫の標本など、超大型から極小のものまでハンターが大集合。他にも「ライオン」や「チーター」などのネコ科哺乳類、「ワシ」や「ハヤブサ」、「フクロウ」などの猛禽類、多様で優れた狩りのテクニックを持つ「トンボ」「ハチ」「クモ」といった昆虫・節足動物など、主に国立科学博物館が誇る貴重な標本コレクションにより、動物たちが生きるために身につけた「ハンティング技術」を徹底解明し、知られざるハンターの実態にマニアックに迫ります。

このほか、大人気動物版青春漫画「BEASTARS」のキャラクターが会場のあちこちに出没して、展示のみどころを紹介するなど、楽しみながら学べる仕掛けがいっぱいです。子どもたちはもちろん、大人も見逃せない展覧会です。是非お出かけください。

 

デイノスクス

 

 

シマフクロウ

 

 

ハナカマキリ

 

オオカミ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コレクター福富太郎の眼  昭和のキャバレー王が愛した絵画」

 9月18日(土)~11月7日(日)

昭和の「キャバレー王」として知られた福富太郎氏(本名中村勇志智、1931-2018)は、戦後の高度経済成長とともに全国に店舗を展開し大成した実業家で、またテレビやラジオ番組にも出演し人気を博した人物でした。その一方で、浮世絵や美人画をはじめとする近代絵画を中心に、幼少期の体験に基づく戦争画まで、他とは一線を画す美術品の蒐集を長年にわたり続け、「福富太郎コレクション」を築きました。さらに、「福富太郎のアート・キャバレー」を『芸術新潮』に連載し単行本化されるなど著述にも優れ、講演会活動とともに自身の愛する作品や作家を人々に伝えることに力を注ぎました。

この展覧会では、蒐集のきっかけとなった鏑木清方を代表とする美人画や黎明期の洋画など、コレクションの全体像を示す初めての企画として、その傑出した人物像にも焦点をあてながら、福富氏がこよなく愛した絵画とその魅力をコレクターの審美眼をとおしてご紹介します。

岡田三郎助《ダイヤモンドの女》1908年 福富太郎コレクション資料室

 

北野恒富《道行》1913年頃 福富太郎コレクション資料室