学芸ノートB版「新装開店」!

万代島美術館の開館以来20年間にわたり発信してきた「B.island(新潟県立万代島美術館ニュース)」の名称を今年度から変更します。

紙媒体で発行し続けてきた「B.island」ですが、昨年度からは時代に合わせてホームページ上での掲載に切り替えました。同時に、内容も見直して、展覧会活動の振り返りや研究成果の報告を中心に据えました。いつでもどこでも手軽に読めて、かつ記録や情報としても有益なものを目指したのです。そうしてみると、「B.island(新潟県立万代島美術館ニュース)」という名称が相応しいのかどうかという、新たな問題も浮上してきました。

既に「ニュース」の役割は持っていないし、「B.island」という愛称(B=万代、island=島)自体が、掲載している内容を十分に伝えていません。つまり、何が読めるどういった媒体なのか、読者にはわかりにくいものになっているという認識です。

書いて載せている以上は、読んでもらえなければ意味がありません。知る人ぞ知る媒体では存在意義がありません。書籍であれば、手に取ってもらえるよう装幀に凝り題名を工夫できますが、ホームページ上の一コーナーとなると、そうもいきません。ではどうするか。それならコーナー名をわかり易くしたらどうだろうか、となりました。学芸員が発信していることが自明で、読んでみようと読者がクリックし易いものを目指す方向で議論し、新装開店の準備をしました。

結果は、「学芸ノートB版」。
単純平凡な名前に落ち着きましたが、最初の「学芸ノート」はよいとして、「B版」て何?、「A版」はどこにあるの?と、思いますよね。

「B」にはいろいろな意味を込めたつもりです。「B.island」を引き継いで、万代島を意味しているのは勿論のこと、長岡の近代美術館が県立美術館Aだとすれば、分館である万美は県立美術館Bでもあります。しかし、BはAに準ずるものでも、二番手でもなく、もう一つの可能性を開くものだという思いもあります。これまで、王道の美術以外にも様々なアートを扱ってきましたし、これからもそうした企画展を意欲的に積極的に実施していこうという館の姿勢やプライドも、「B版」には含めているつもりです。

ですから、執筆内容をB級に落とすつもりはさらさらありません。学芸員が調べて見えてきたこと・わかったこと、あるいは展覧会を実施運営して気づいた点等々、美術や美術館を好きな方々と共有したい話題を提供していく予定です。美術の面白さに読者を誘うべく、各学芸員がそれぞれのフィールドで見つけたネタに磨きをかけているところです。

「「学芸ノートB版」を毎回楽しみにしているよ」といった声が普通に聞かれる(閲覧数が伸びる)ようになるまで、20周年目前の今年度、遅ればせながら新たな挑戦を始めます。

(館長(業務課長) 桐原 浩)