細見良行館長によるギャラリートークを開催!
「伊藤若冲と京の美術ー細見コレクションの精華」がオープンしました。初日からたくさんの皆様にご鑑賞いただいております。本日いらしたお客様の中には、細見美術館の細見良行館長のギャラリートークをめざして来られた方もたくさんいらっしゃいました。
細見美術館のコレクションは、大阪の実業家・細見良氏による収集から始まっていまして、細見良行館長は、お爺様、お父様のコレクションを引き継いで、美術館を建てられたのです。重要文化財「芦屋霰地楓鹿図真形釜」の解説では、初代の細見良氏の釜へのこだわりについて、興味深いエピソードをまじえて紹介して下さいました。
また本展は、細見美術館所蔵の伊藤若冲作品のほぼすべてが出品されており、初期から晩年までの画業が辿れるというまたとない機会なのですが、伊藤若冲と円山応挙の画風の違いについて館長は、若冲は京都生まれ京都育ちなので多少エキセントリックなことをしても画壇から許されたが、応挙は余所から京都にやってきた画家なので、どうしてもオーソドックスな描き方になると解説されていました。こういう京都人の視点からの比較は大変興味深かったです。
細見美術館ができてすぐの頃は、若冲展をやってもそんなにお客さんがいらっしゃらなかったのに、2年前にワシントンのナショナル・ギャラリーでやった若冲展は20万人以上の入場者があり、しかも展覧会図録は即日完売となり、まさに若冲が世界的に有名な画家になったのだと、館長は感慨深げにお話されていました。細見美術館では、人気グループ「嵐」の大野智さんが見学に来られたのがテレビで放映されて、一気にお客さんが増えたとのこと。
美術史家の辻惟雄先生が雑誌『美術手帖』での「奇想の系譜」連載で若冲に注目されたのは1968年のこと。自分の絵がこんなに世界中で愛されるようになるなんて、伊藤若冲も今頃びっくりしていることでしょう。