コレクター福富太郎の眼

昭和のキャバレー王が愛した絵画

コレクター福富太郎の眼
会期 2021年09月18日(土) ~ 2021年11月07日(日)
開催時間 10:00〜18:00(観覧券の販売は17:30まで)
休館日 9/27(月)、10/11(月)、10/25(月)
観覧料 一般 1,600円(1,400円)/大学・高校生 1,300円(1,100円)/中学生以下無料 *( )内は有料20名様以上の団体料金  前売券[一般のみ] 1,400円
前売券情報 前売券情報はこちら
会場 新潟県立万代島美術館
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「私は、福富太郎という人は、間違いなく戦後最高のコレクターだと思っています。」

――本展監修者・山下裕二氏(美術史家・明治学院大学教授)

昭和の「キャバレー王」として知られた福富太郎(ふくとみ・たろう/1931-2018)は、戦後の高度経済成長とともに全国に店舗を展開し、実業家として成功をおさめました。また、テレビやラジオ番組に出演し、その軽妙でユーモアあふれる語り口が人気を博し、キャバレー太郎の異名をとりました。

その一方で、美人画や黎明期の洋画をはじめとする近代日本絵画、さらに幼少期の体験に基づく戦争画などの美術品を長年蒐集し、「福富太郎コレクション」を築きます。そして、美術雑誌の連載をはじめとする著述や講演をとおして自身の愛するコレクションを紹介し、美術品の魅力を広く人々に伝えることに力を注ぎました。

本展覧会では、蒐集のきっかけとなった日本画の鏑木清方を代表とする美人画をはじめ、明治の黎明期から昭和の戦時下にいたる洋画まで、彼がこよなく愛した絵画80点余りをご覧いただきます。生前の福富太郎と深く交遊した山下裕二氏(美術史家・明治学院大学教授)の監修により、コレクターとしての審美眼に焦点を当てながら類稀なるコレクションの全体像をご紹介する初の機会です。

稀代のコレクター・福富太郎

本名・中村勇志智(なかむら・ゆうしち)。東京の品川区に生まれる。16歳で銀座のキャバレーのボーイとなり、31歳には巨大キャバレー「銀座ハリウッド」をオープンさせ、「健全娯楽」をモットーに全国に44店舗を展開。コレクターとしては、浮世絵をはじめ、河鍋暁斎、そして鏑木清方らの日本画、さらには洋画にも対象を広げ、あくまでも自身の眼で作家と作品に向き合い蒐集した。そのコレクター人生は、『芸術新潮』の名物連載「福富太郎のアート・キャバレー」に詳しい(後に単行本化)。

 

展覧会の構成

Ⅰ コレクションのはじまり――鏑木清方との出逢い

少年時代、父親が大切にしていた鏑木清方の作品を空襲で失ってしまった体験が原点となり、福富は清方作品の蒐集に邁進することになります。そして、入手した作品を携えて鎌倉の清方邸を何度か訪れるなど、敬愛する清方と交流しました。清方は福富にとってまさに特別な存在であったのです。

鏑木清方 《妖魚》 1920年 福富太郎コレクション資料室 Ⓒ Akio Nemoto 2021/JAA2100212

鏑木清方 《薄雪》 1917年 福富太郎コレクション資料室 Ⓒ Akio Nemoto 2021/JAA2100212

【福富の言葉】この絵は、清方先生は、焼けてしまったものと思われていた。偶然のことから、私が所有していることを知られ、鎌倉のお宅に持参した。「ひとり立ちした子供が、元気な姿を見せに来たようで嬉しい…」と、五十年前の作画時の思い出をなつかしく話され、『絵詞』を書いてくださった。しばらく手もとに置いておきたいとのご希望で、一ヶ月近く座右に置かれていた。それだけに、ひとり占めしておきたい、いや、多くのひとに見てもらって楽しんでもいただこう、ふたつの気持が、いつも振り子のようにゆれ動く絵である。

 

Ⅱ 女性像へのまなざし

福富コレクションの核は、近代日本画の女性像です。鏑木清方を軸として、他の作家たちにも蒐集を拡げていきます。福富は作家の知名度や美術史上の評価を頼りとはせず、自身の審美眼をもって作品を選びました。また、西の作家の蒐集ではとりわけ妖艶な女性像を好み蒐集しています。

 

(1)東の作家

   

新潟出身・尾竹三兄弟の次兄・尾竹竹坡

尾竹竹坡 《ゆたかなる国土》 1916年 福富太郎コレクション資料室

 

(2)西の作家

 

北野恒富 《道行》 1913年頃 福富太郎コレクション資料室

【福富の言葉】  すぐに屏風を自宅に運びこみ、毎晩毎晩、飽かず眺めて暮らした。(略)心中ものでは、近松門左衛門の『冥途の飛脚』を描いた鏑木清方の《薄雪》という作品を、私は持っている。(略) これとは対照的な恒富の、清方に勝るとも劣らない心中図が入手できて、私の喜びはひとしおだった。

 

Ⅲ 時代を映す絵画

福富コレクションは、日本画の女性像ばかりでなく、洋画においても重要な作品が多数収蔵されています。福富は、画家の有名、無名を問わず、自分の眼で選んだ作品を購入しました。また、幼少期の戦争体験からいわゆる「戦争画」を熱心に蒐集しました。そのうち約100点は、没後に東京都現代美術館に寄贈されましたが、「戦争画の周辺」ともいうべき作品群は現在もコレクションとして保管されています。

 

(1)黎明期の洋画

初代新潟奉行・川村修就を祖父に持つ川村清雄

川村清雄 《蛟龍天に昇る》 1891年頃 福富太郎コレクション資料室

【福富の言葉】しばらくたって[清雄の息子]清衛さんが耳よりな情報を教えてくれた。なんでも龍を描いた清雄の大作が売りに出ているらしい、画商の名前は忘れたが、たしか「雲」という字がついたと思う……。「雲」の一字を頼りに、画廊名簿や美術名鑑を虱潰しにして電話をかけまくり、ようやく捜しあてたのが《蛟龍天に昇る》である。(略)清雄は、これは自分の傑作の一つで勝海舟先生に納めた絵だと語っていたという。(略)勝海舟ゆかりの絵となれば、いよいよもって有難い。何を隠そう、私は海舟の大ファンなのである。

 

(2)江戸から東京へ

 岡田三郎助 《ダイヤモンドの女》 1908年 福富太郎コレクション資料室

 

(3)戦争画の周辺

 満谷国四郎 《軍人の妻》 1904年 福富太郎コレクション資料室

【福富の言葉】 オークション会社に問い合わせたところ、この作品はアメリカのある大学が所蔵していたものだと判った。(略)ただ、画面の汚れぶりからみて《軍人の妻》が、ここ三、四十年間は大切に扱われてこなかったことは明らかだ。それが晴れて故郷に帰ることができたのである。毎日、絵をみつめているうちに、彼女の涙に気がついた。明るい光線の中で、間近に見ないとよくわからないが右目にだけ一雫、白い涙が描かれている。夫をなくした明治の女性が、わずかに外にあらわした悲しみのしるしだが、ようやく帰国できた、うれし涙のようにも、私には思えた。

 

◆特別出品◆

福富の没後、東京都現代美術館に寄贈された戦時下の洋画コレクション約100点から、藤田嗣治、宮本三郎、向井潤吉、中村研一、阿部合成の5点を特別出品します。

会期中のイベント

【開催中止】講演会 

*新型コロナウイルス感染拡大により中止いたします。

9月18日(土) 14:00~15:30 / NICOプラザ会議室(万代島ビル11F)にて

講師:山下裕二氏(本展監修者/美術史家・明治学院大学教授)

演題:「戦後最高のコレクター・福富太郎と私」

定員60名[事前申込制] / 聴講無料

*申込方法:往復はがきに、①参加人数(1通につき2名まで可)、②参加者全員の氏名・住所・電話番号(日中に連絡可能なもの)を明記の上、当館まで送付してください。9月1日(水)必着。応募多数の場合は抽選となります。

鑑賞講座

10月17日(日)14:00~15:00 / 美術館ロビーにて

講師:澤田佳三(当館専門学芸員)

演題:「福富太郎が愛したコレクション」

定員25名[申込不要・先着順] *13:30より受付 / 聴講無料

学芸員によるギャラリートーク

10月3日(日)、10月10日(日)、11月3日(水・祝) 各日14:00〜 / 展示室にて / 申込不要 / 要観覧券

ご来館の皆様へ

●マスクの着用にご協力をお願いいたします。
●新型コロナウイルス感染症の状況により、開催内容に変更が生じる場合もございます。最新の情報は当館ウェブサイト等でご確認ください。

 

 

 

主催: 新潟県立万代島美術館/NST新潟総合テレビ/コレクター福富太郎の眼新潟展実行委員会

特別協力: 福富太郎コレクション資料室

協賛: 中央イベントリース

後援:  新潟市/新潟市教育委員会/新潟日報社/朝日新聞新潟総局/毎日新聞新潟支局/読売新聞新潟支局/産経新聞新潟支局/NCV(株)ニューメディア/FM新潟77.5/FM KENTO/ラジオチャット・エフエム新津/エフエム角田山ぽかぽかラジオ/エフエムしばた/燕三条エフエム放送

企画協力:  アートワン

協力:  新潟県立美術館友の会